TIM & SAILOR

ティム店長のリンパ腫との戦い~検査結果は「リンパ腫の疑い」編~

診断結果は「リンパ腫の疑い」

検査結果が出るころ、私は買付のため、イギリスに滞在していて、夫からメールで検査結果を聞きました。検査結果は「リンパ腫の疑い」ということでした。私の帰国後に、夫婦で改めて病院に話を聞きに行きました。

病院に行くと、先生が治療方法について説明してくれました。 リンパ腫、いわゆる血液由来のリンパ腫ががん化したなので、抗ガン剤治療になるということでした。

当時の(現在も?)猫のリンパ腫治療の主流と言われるものは、猫リンパ腫プロトコールという抗がん剤治療で、2週間おき(半年が過ぎれば3週間おき)に種類の違う抗がん剤を投与し、それを1年から1年半続けるというものでした。


猫の抗がん剤治療

人間と猫との抗がん剤治療の違いについても教えてもらいました。
人間の場合の抗がん剤治療は「完治」を目指すため、薬の効用は強く、その分、ひどい吐き気や、髪の毛が抜けたりするような、強い副作用が伴うそうですが、一方で、猫の場合は、 「完治」を目指すものではないため、そこまで薬も強くなく、人間ほどのひどい副作用は出ないということでした。

猫の抗がん剤治療は、「完治」ではなく、「寛解」と言われる腫瘍がなくなり元気になる状態を目指すためのものだそうです。言い換えると、残念ながら、それは猫のリンパ腫に「完治」はない、ということだそうです。

猫リンパ腫プロトコールの抗がん剤治療を採択するかどうかは飼い主さんの判断にお任せしているとも言われました。というのも、2~3週間ごとの通院・抗がん剤投与、そしてそれを一年以上もの長期間続けていくというのは、猫にとってかなりの体の負担やストレスになります。人間ほどの副作用はないとは言え、肝機能や腎機能が下がってしまったり、糖尿病などの合併症を引き起こしたりすることもあるそうです。頑張って治療を続けたとしても、猫によっては、効果が出ない子もいるそうです。

高齢の猫の場合は、無理をさせず、緩和療法でできる限りの延命を目指す飼い主さんも多いとのことでした。

また飼い主にとっても、通院の負荷に加えて、経済的負担が、もちろんかかってきます。
ただ、経済的な理由で治療を断念することは考えていませんでした。また、ティムは当時、8歳(推定)で、年齢を理由にするには、まだ若いとも言われました。

参考までに、「他にこの治療を受けている子はいますか?」と先生に聞いてみたところ「今も、一匹、治療中の猫ちゃんがいて、その子には効き目が認められて、元気ですよ」ということでした。

でも、その場では答えを出せず、いったん持ち帰って後日返事をすることにしました。

できることは何か

家に戻り、いろいろ自分なりに猫のリンパ腫について調べてみました。
すると、「抗がん剤治療をしても、結局、再発してしまう。そして、再発すると、薬の抗体ができてしまっているため、もう抗がん剤の効き目はなく、手の施しようがない」というような話がいっぱい出てきて、とても落ち込みました。

また、できる限りティムへのストレスをなくすため、ハナとは完全隔離しました。私とティムのペア、夫とハナのペアとなって寝室も別にしました。(ある意味、家庭内別居^^;以来、ハナちゃんはパパっこです。)

そして気休めかもしれませんが、首輪も外しました。ティムはイケにゃんなので(笑)、どんな首輪も似合うのですが、少しでもストレスが減るならと。(なので、首輪している写真は少し前のものです、はは。)

それから、猫のゴロゴロが人の免疫力を高めるということを聞いていたので、人の免疫力まで高めるなら、猫自身の免疫力はより高めるだろうと信じ、たくさんゴロゴロ言わせるように、なでなでスキンシップしたり、グルーミングしたり、「大好きだよ」「一緒にいられて幸せだよ」と声をかけたりして、ゴロゴロ時間を増やすようにしました。ゴロゴロいうと、幸せ細胞が増えて、悪玉細胞を消してくれるような気がしました。

また私自身、あまり悲観せず、前向きな気持ちでティムに接するようにしていました。

サプリメント

免疫力を高めるためのサプリメントも調べました。最終的に、マイタケ由来の成分のD-フラクションと冬虫夏草由来のコルディの2つで迷ったのですが、D-フラクションを与えることにしました。ご飯に数滴垂らして与えるのですが、少し匂いがあるので、与えすぎるとご飯ごと食べてくれなくなるので、少しずつ混ぜて与えていました。

セカンドオピニオン

そんな中、免疫療法という先端医療を行っている都内の病院を見つけ、セカンドオピニオンを兼ねて話を聞きに行きました。
とても丁寧に解り易く、猫のリンパ腫のこと、免疫療法のことを話してくれました。
4年近く経っているので、うろ覚えの部分があり、間違っている箇所もあるかもしれませんが、(間違っていたらすみません)こんなお話をしてくれました。

まず、猫のリンパ腫には、発生部位によって種類があること(ティムの場合は、胃に見つかったので消化器型と思われました)、またリンパ腫は、基本的にはみな悪性のものなのだけれど、その中でも比較的進行が遅い慢性的なものと、毒性が強く一気に進行が進んでしまうとりわけ悪性が強いものとが、あることなど教えてもらいました。

何も治療を施さなかった場合、慢性的であっても悪性の強いものであっても、3か月後の生存率はかなり低く、確か慢性的なものでも50%以下、悪性の強いものは20%もなかったかと思います。この時点で、かなりショックを受けてしまいました。

抗がん剤プロトコールを施した場合、慢性的なものの場合の2年後の生存率は約70%とかなり高くなるが、悪性が強いリンパ腫の場合の2年後の生存率は、かなり低いまま、そこで、悪性の強いリンパ腫にも効果があるというのが、免疫療法というお話でした。



免疫療法

免疫療法とはどんな治療方法かというと、何週間かおきに異なる抗がん剤を投与するというのは、抗がん剤プロトコールとほとんど仕組みは同じで、ただ、その間に、罹患している猫の血液(リンパ球)を採取し、悪性を取り除いてから、それをまた猫に投与(戻す)する、という方法が加わったものでした。 この治療法だと、再発するリスクも低く、完治に近い状態を目指せるそうです。

希望の光が・・と思った矢先、難点も。

まず、やはりかなりの頻度で通院が必要ということ。猫への負担は抗がん剤プロトコール治療とほとんど変わらないと思われました。

そして、もうひとつ。

この治療法は、罹患しているリンパ腫の細胞がT細胞でないとできないということでした。 細胞には大きくわけてT細胞とB細胞とその他の3種類があり、リンパ種に罹患している細胞がT細胞であるときだけ、この治療法が使えるのだそうです。

リンパ種に罹患している細胞がどの種類なのかは、最初にリンパ種の診断をした際に採取した細胞を調べればわかるそうで、最初の病院で確認してくださいとのことでした。もしわからなかった場合は、別途、細胞を調べるクローナリティ検査というのがあるので、その検査に出してください、ともアドバイスをいただきました。

ちなみに免疫療法の費用についても聞いたと思いますが、あまり覚えていません。ただ、覚悟していたほど高額でもなかったと記憶しています。

いずれにしても、罹患しているリンパ腫の細胞がT細胞でないと治療はできないので、まずは細胞を調べてから、という話になり、病院を後にしました。

病院からの帰り道で「何もしなければ3か月後の生存率はかなり低い」という話を思い出し、もしかしたら、ティムちゃんは3か月後には、いなくなってしまうのか?と思ったら、涙がポロポロ出てきてしまいました。帰りの電車でも、めそめそしながら、涙をこらえるのが大変でした。



ティム体調を崩す編へ戻る | 猫リンパ腫プロトコール編へ進む